腎臓に慢性的な病変が存在することで、腎臓の機能低下を引き起こす病態です。数ヶ月から数年にわたって進行して悪化していきます。症状は、多飲多尿・脱水・貧血、さらに進行すると尿があまり出なくなったり、神経症状などの症状を示す末期腎不全、尿毒症へと進行します。原因ははっきりとわかっていない部分もありますが、腎炎や腎結石、先天性疾患、腎毒性のある物質の摂取など様々です。慢性腎臓病はある程度進行しなければ症状が現れないため、定期的な血液検査や尿検査、エコー検査などで腎臓の状態をチェックすることが大切です。腎臓の機能は一度失われてしまうと回復させることは難しく、輸液によって脱水を防いだり、腎臓に優しい食生活に変えるなど、少しでも進行を遅らせることを目的として治療を行います。

腎臓や膀胱などに石のような物質(結石)ができてしまう病気です。結石の刺激によって粘膜が炎症を起こすだけでなく、尿管や尿道に詰まって尿が出なくなる尿路閉塞の原因にもなります。このような結石は、飲水不足や脱水により尿が濃縮されたり、細菌感染によって尿のpHが変化することによって形成されやすくなります。遺伝的に結石のできやすい猫ちゃんも存在します。特にオス猫は尿道が細く結石が詰まっておしっこが出なくなり腎不全を起こす（オス猫の下部尿路疾患症候群）ので、血尿や頻尿が見られたらすぐに動物病院へ受診しないと危険です。結石は尿検査やエコー検査、種類によってはレントゲンでも確認することができます。結石は溶けるものと溶けないものがあり、溶けるものであれば内科治療を優先的に行います。しかし、溶けない結石や大きすぎる結石の場合は外科治療が必要になる場合があります。当院では、尿管、膀胱、尿道の結石の外科治療もおこなっております。

血液の酸素を運ぶための細胞である赤血球が、何らかの原因で少なくなることで生じます。再生性貧血と非再生性貧血に分けられます。再生性貧血は溶血（何んらかの原因で赤血球が壊れること）や大量の出血などで生じます。非再生性貧血は血液が作られない何らかの病気（腫瘍や栄養失調や腎疾患）で生じます。貧血は原因によって治療方法が異なるため、血液スクリーニング検査や血液塗沫検査、超音波エコー検査やレントゲン検査を駆使して正確な診断をつけて治療を行います。輸血が必要となることがあります。猫ちゃんの場合、猫エイズや猫白血病やSFTSやヘモプラズマなどの感染症、中毒、免疫介在性溶血性貧血などの原因があります。重症例は亡くなるることがありますので注意が必要です。