猫の子宮蓄膿症の症状と原因、治療について|獣医師が解説 NEW
避妊手術 症例紹介猫の子宮蓄膿症の症状と原因、治療について|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
猫の子宮蓄膿症は、不妊手術を受けていない中高齢のメス猫に発生する重篤な病気です。進行すると敗血症やショック状態を引き起こし、命に関わることもあります。
今回は猫の子宮蓄膿症について、原因や症状、治療法を獣医師がわかりやすく解説します。
子宮蓄膿症とは
子宮蓄膿症とは、細菌感染によって子宮の中に膿が大量にたまる病気です。
発情周期に伴うホルモンの影響で子宮内膜が変化し、そこへ細菌が感染することで発症します。
犬でよくみられる病気として知られていますが、猫でも発症することがあります。特に避妊手術を受けていない高齢のメス猫では注意が必要です。
発症すると細菌や炎症物質が血液中に入り込み、全身状態が急激に悪化することがあります。
子宮蓄膿症の原因
主な原因は発情後のホルモン変化と細菌感染です。
発情後には黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用によって子宮内膜が厚くなり、子宮内に分泌液がたまりやすくなります。
この状態で膣から侵入した細菌が増殖すると、子宮内に膿がたまっていきます。
原因となる細菌としては大腸菌が最も多くみられます。
また、発情抑制のためにホルモン剤を使用している猫では発症リスクが高くなることが知られています。
子宮蓄膿症の症状
症状は病気の進行度や子宮の状態によって異なります。
初期には目立った症状がなく、飼い主様が気づきにくい場合もあります。
代表的な症状として以下のようなものがあります。
・元気がない
・食欲が低下する
・発熱する
・水をたくさん飲む
・尿量が増える
・嘔吐
・体重減少
・お腹が膨らむ
・陰部から膿や血液が出る
特に陰部から膿が出ている場合は比較的発見しやすいですが、膿の出口が閉じている「閉鎖性子宮蓄膿症」では外から異常がわかりにくく、重症化しやすい傾向があります。
閉鎖性の場合は、お腹の張りや元気消失だけがみられることもあります。
診断方法
診断には身体検査に加えて各種検査を行います。
まず血液検査で炎症の程度や腎機能の状態を確認します。
さらにレントゲン検査や超音波検査によって、膿がたまった子宮の拡張を確認します。
超音波検査は子宮内の液体貯留を評価できるため、特に有用な検査です。
子宮蓄膿症の治療
●外科手術が第一選択
子宮蓄膿症の最も確実な治療は、卵巣と子宮を摘出する手術です。
感染した子宮を体内に残したままでは再発や全身状態の悪化を招くため、基本的には手術が推奨されます。
手術前には点滴治療や抗菌薬投与によって全身状態を安定させることもあります。
●内科治療
繁殖を希望する場合や全身状態などの事情によっては、薬による治療を選択することもあります。
子宮収縮を促す薬や抗菌薬を使用しますが、再発率が高く、完全な治療にならないことも少なくありません。
そのため一般的には外科手術が推奨されます。
予後について
早期に診断され適切な手術を受けた場合、多くの猫で良好な経過が期待できます。
しかし診断が遅れ、敗血症や腎障害を併発した場合には命に関わることがあります。
元気消失や食欲不振がみられた際には、早めの受診が大切です。
予防方法
最も確実な予防法は若いうちに避妊手術を受けることです。
避妊手術によって子宮と卵巣を摘出すれば、子宮蓄膿症は発症しません。
まとめ
子宮蓄膿症は避妊手術を受けていないメス猫に発生する重篤な病気です。
初期症状はわかりにくいこともありますが、食欲低下や元気消失、多飲多尿、陰部からの排膿などがみられた場合は注意が必要です。
治療の第一選択は卵巣子宮摘出術であり、早期発見・早期治療が命を守るポイントになります。
愛猫の健康を守るためにも、避妊手術による予防と定期的な健康チェックを心がけましょう。
子宮蓄膿症になると外陰部から膿(おりもの)が出てくることがあります。外科手術で子宮と卵巣を摘出すると完治できる可能性がありますので、未避妊の猫が調子を崩した時はなるべく早く動物病院を受診するようにしてください。
