猫の口内炎の症状と原因、治療について|獣医師が解説
歯科 症例紹介猫の口内炎の症状と原因、治療について|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
猫ちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。
猫ちゃんが元気で健康な生活を送るためには、口内の健康も非常に重要です。口内炎は、猫の口腔内で発生する一般的な問題の一つであり、その症状、原因、そして当院での治療について解説します。獣医師がお伝えする情報をご覧ください。
【猫の口内炎の症状】
猫の口内炎の症状は、以下のようなものがあります:
1. 口臭: 猫の口臭が強くなることがあります。
2. 食欲不振: 口内炎があると食事が痛みを伴うため、食べることを嫌がることがあります。
3. 唾液の過剰分泌: 口内炎があると、猫は唾液を過剰に分泌することがあります。
4. 口内の腫れ: 口内炎が進行すると、口の中に腫れが生じることがあります。
5. 嘔吐や吐血: 重症の場合、猫は嘔吐したり、口から血が出たり、血を吐いたりすることがあります。
【猫の口内炎の原因】
口内炎の原因はさまざまで、以下が代表的なものです:
1. 外傷: 口内炎は時に、誤って物を噛んだり、舐めたりすることによって引き起こされることがあります。
2. 感染症: 口内の細菌やウイルス感染が口内炎の原因になることがあります。特に猫エイズに感染している猫は、口の中の細菌に対する抵抗力が弱まり口内炎を起こすことが多いです。また、カリシウイルス感染症は、猫の舌や口腔粘膜に炎症を引き起こし、口内炎を発症することがあります。
3. アレルギー: アレルギー反応によって、口内炎が引き起こされることがあります。猫の歯牙疾患と言って、原因はよくわかっていませんが、おそらく体質などが関係し、ある種の猫では自分の歯に対し炎症反応を持続的に起こしてしまう子がいて、それが口内炎に関係することがあります。
4. 栄養不足: 栄養素の不足により、口内炎が発生することがあります。
5. 免疫不全や腎不全: 猫が免疫不全状態にある場合、口内炎が発症しやすくなります。猫エイズや猫ウイルス性白血病の持病のある子は免疫不全を起こしやすく、口内炎になることがあります。腎不全のある子は、尿毒症物質の影響で口腔粘膜が侵され、口内炎になることがあります。
【猫の口内炎の治療】
口内炎の治療は、その原因や症状の重さによって異なりますが、以下のアプローチが一般的です:
1. 原因の除去: 口内炎の原因を特定し、除去します。外傷やアレルギーが原因の場合、注意深いケアが必要です。炎症を起こす原因になっている歯がある場合、抜歯をすることで症状が軽くなることがあります。腎不全がある場合は、その治療を行います。
2. 口内炎の薬物治療: 抗生物質や抗炎症剤など、獣医師が処方した薬を使用して、口内炎の痛みや炎症を軽減します。
3. 食事の調整: 猫によっては食欲に大きく影響しますので、その子が食べやすく、栄養バランスの取れたフードによって食欲を維持することに努めます。近年は様々なタイプのキャットフードが様々なメーカーから販売されており、動物病院ではその子に合ったフードを提供することができます。
4. 定期的なフォローアップ: 猫の状態をモニタリングし、必要に応じて治療を調整します。
【まとめ】
口内炎は猫の健康にとって不快な症状を引き起こすことがありますが、適切な治療とケアによって改善することができます。口内炎が続く場合や悪化する場合は、必ず獣医師の診察を受けましょう。
猫は食べ物に対して好き嫌いがはっきりしており、口内炎のあるこでは食欲の維持に苦慮することが多いです。そして、口内炎が体質や感染症が関連している場合、ずっと病気と付き合う必要があることも多いです。当院では様々な対応の口内炎に対しての管理に精通しております。ご心配を抱えている飼い主様がいらっしゃれば、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。
この子は猫エイズのため、口角の奥が左右両方とも大きく腫れ上がる口内炎を起こしています。
そしてこの子は歯肉全般が発赤して腫れるタイプの口内炎を起こしています。おそらく猫の歯牙疾患と呼ばれる体質が関連した口内炎と考えられました。どちらの子も初期は抗生物質や消炎剤での治療を行っていましたが、食欲に影響が出てきたため、荒療治ですが、犬歯以外の歯を抜歯することで炎症を抑えることに成功し、口内炎を鎮静化することができました。