犬の細菌性皮膚炎(膿皮症)の症状と原因、治療について|獣医師が解説 NEW
皮膚科 症例紹介犬の細菌性皮膚炎(膿皮症)の症状と原因、治療について|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
犬の皮膚に赤いブツブツや脱毛、かゆみ、やけどのようなただれがみられる場合、「膿皮症(のうひしょう)」という細菌性皮膚炎の可能性があります。特に夏場、水遊びやシャンプーの後に乾かし方が不十分の時、1週間くらいで発生してきます。
膿皮症は犬で最も多くみられる皮膚病の一つですが、適切な治療を行えば改善が期待できます。今回は膿皮症の症状や原因、治療についてわかりやすく解説します。
犬の膿皮症とは
膿皮症とは、皮膚に細菌が増殖して炎症を起こす病気です。
健康な犬の皮膚にも細菌は存在していますが、通常は皮膚のバリア機能によって増えすぎることはありません。しかし、アレルギーや皮膚の傷、梅雨や夏の湿度と温度の上昇などが原因で抵抗力が低下し皮膚のコンディションが悪化すると、常在菌が増殖して発症します。
原因菌として最も多いのは、犬の皮膚に常在する**ブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius)**です。
主な症状
膿皮症では次のような症状がみられます。
• 赤い発疹やブツブツ
• 円形の脱毛
• フケが増える
• 強いかゆみ
• 膿をもった小さなできもの
• 皮膚のベタつきや臭い
• やけどのようなただれ
特にお腹、わきの下、股の内側、足先など、形状が入り組んでいて湿度と温度が上昇した状況になりやすい場所に発生しやすい傾向があります。
膿皮症の原因
膿皮症そのものは細菌感染ですが、多くの場合は背景に別の病気や体質があります。
代表的な原因は以下のとおりです。
• アトピー性皮膚炎や食物アレルギー
• ノミ・ダニ・毛包虫などの寄生虫
• シャンプー後の乾燥不足や蒸れ
• 甲状腺機能低下症やクッシング症候群などのホルモン疾患
• 肥満や皮膚のしわ
再発を繰り返す犬では、根本原因を調べることが重要です。
診断方法
診察では皮膚の状態を確認し、必要に応じて以下の検査を行います。
• 皮膚細胞診
• セロハンテープ検査
• 毛検査
• 細菌培養・薬剤感受性試験
近年は抗菌薬が効きにくい耐性菌も増えているため、治療効果が乏しい場合には培養検査が重要になります。
治療
治療は症状の程度に応じて行います。
軽症では薬浴や外用薬のみで改善することもありますが、中等度以上では抗菌薬の内服が必要になります。
また、アレルギーやホルモン疾患などの基礎疾患がある場合は、その治療も並行して行わなければ再発を繰り返してしまいます。
つまり皮膚病の悪化要因を総合的に判断し、治療してゆかないと、抗菌剤だけでは良くならないケースがあります。
症状が良くなっても自己判断で薬を中止せず、獣医師の指示どおり最後まで治療を続けることが大切です。
予防のポイント
膿皮症を予防するには、日頃のスキンケアが重要です。
• シャンプー後はドライヤーを用いて毛の根本からしっかり乾かす
• ノミ・ダニ予防を続ける
• アレルギーを適切に管理する(特に食生活が大切)
• 体重を適正に保つ
皮膚の赤みやかゆみを早めに見つけて治療することが、重症化や再発防止につながります。
まとめ
犬の膿皮症は、特に夏場よくみられる皮膚病ですが、多くは適切な治療で改善します。一方で、アレルギーやホルモン疾患などの基礎疾患が隠れていることも少なくありません。
「皮膚が赤い」「かゆみが続く」「脱毛が気になる」といった症状がある場合は、早めに動物病院を受診し、原因を調べたうえで適切な治療を受けることをおすすめします。
皮膚に湿疹ができている皮膚病は基本的に細菌性皮膚炎が関連していることが多いです。しかしながら他の皮膚病(寄生虫、真菌、アレルギーなど)が関連していることが多く、除外診断の後、抗菌剤治療だけでなく、全身的な病状の評価とケアによって治ってきます。夏場は皮膚病の季節です。早期発見早期治療によって皮膚病を悪化させないようにすることが大切です。
