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犬の乳腺腫瘍の症状と原因、治療について|獣医師が解説 NEW

腫瘍科 症例紹介

犬の乳腺腫瘍の症状と原因、治療について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
犬の乳腺腫瘍は、高齢の未避妊メス犬に多く見られる腫瘍です。動物病院で診察していると、「お腹にしこりがある」「最近大きくなってきた」といった相談で発見されることが少なくありません。
乳腺腫瘍は良性の場合もありますが、犬では約半数が悪性腫瘍といわれています。早期発見・早期治療が予後を大きく左右するため、飼い主様が日頃から愛犬の体を触ってチェックすることが重要です。
今回は犬の乳腺腫瘍の症状や原因、治療法について詳しく解説します。

犬の乳腺腫瘍とは?

乳腺腫瘍とは、乳腺組織から発生する腫瘍の総称です。
犬の乳腺は胸から下腹部にかけて左右5対あり、どの乳頭周辺にも発生する可能性があります。
乳腺腫瘍には以下のような種類があります。
•    良性腫瘍
•    悪性腫瘍(乳腺癌)
•    混合性腫瘍
見た目や触った感触だけで良性・悪性を判断することは困難です。

犬の乳腺腫瘍の症状

●お腹や胸にしこりができる
最も多い症状です。
飼い主様がお腹を撫でている際に偶然発見するケースが多くみられます。
しこりの特徴としては、
•    小さな豆粒程度
•    ゴルフボール大まで成長する
•    1個だけの場合も複数の場合もある
などさまざまです。
●しこりが急速に大きくなる
悪性腫瘍では数週間から数か月で急激に増大することがあります。
以前からあった小さなしこりが急に大きくなった場合は注意が必要です。
●皮膚が赤くなる、潰瘍化する
腫瘍が大きくなると皮膚表面が傷つき、
•    出血
•    化膿
•    悪臭
を伴うことがあります。
●リンパ節の腫れ
悪性腫瘍では周囲のリンパ節へ転移することがあります。
脇の下や後肢の付け根にしこりが触れる場合は転移の可能性も考慮します。
●元気や食欲の低下
肺や他の臓器へ転移した場合、
•    咳
•    呼吸困難
•    食欲低下
•    体重減少
などの全身症状がみられることがあります。

犬の乳腺腫瘍の原因

●女性ホルモンの影響
乳腺腫瘍の最大の危険因子は女性ホルモンです。
発情や妊娠によるホルモン刺激を長期間受けることで発症リスクが高まります。
避妊手術の時期によって発症率は大きく変化します。
初回発情前に避妊した犬では乳腺腫瘍の発生率は極めて低くなります。
一方で、高齢になってから避妊した場合は予防効果がほとんど期待できません。
●加齢
乳腺腫瘍は中高齢犬に多くみられます。
特に8歳以上で発生率が高くなります。
●遺伝的要因
犬種によって発生率が異なることが知られています。
比較的発症が多いとされる犬種には、
•    トイ・プードル
•    ミニチュア・ダックスフンド
•    シーズー
•    ヨークシャー・テリア
•    コッカー・スパニエル
などがあります。

乳腺腫瘍の診断

診断では以下の検査を行います。
•    身体検査
•    しこりの大きさや個数の確認
•    胸部レントゲン検査
•    超音波検査
•    リンパ節評価
•    血液検査
肺転移の有無を確認することは治療方針を決定するうえで非常に重要です。
最終診断は摘出した腫瘍の病理組織検査によって行われます。

犬の乳腺腫瘍の治療

●外科手術
最も重要な治療法です。
乳腺腫瘍は早期に完全切除することで良好な予後が期待できます。
腫瘍の状態に応じて、
•    腫瘍のみ切除
•    一部の乳腺を切除
•    片側乳腺全摘出
•    両側乳腺全摘出
などを選択します。
●避妊手術の併用
未避妊犬では乳腺摘出手術と同時に避妊手術を行うことがあります。
ただし高齢犬では予防効果が限定的なため、年齢や病状を考慮して判断します。
●抗がん剤治療
悪性度が高い場合や転移リスクが高い場合には抗がん剤治療を検討することがあります。
ただし犬の乳腺腫瘍では、外科手術が治療の中心となります。

予後はどのくらい?

予後は以下の要素によって変わります。
•    良性か悪性か
•    腫瘍の大きさ
•    転移の有無
•    病理検査結果
一般的には、腫瘍径が小さいほど予後は良好です。
特に直径3cm未満で発見できた場合は長期生存が期待できます。
一方で肺転移が認められる場合は慎重な経過観察が必要になります。

飼い主様ができる予防と早期発見

乳腺腫瘍を完全に予防する方法はありませんが、
•    若齢時の避妊手術
•    定期健康診断
•    日頃のスキンシップ
は大きな予防・早期発見につながります。
月に1回程度、お腹から胸にかけて優しく触り、しこりがないか確認してみてください。

まとめ

犬の乳腺腫瘍は中高齢の未避妊メス犬に多くみられる病気です。初期には小さなしこりだけで元気や食欲に変化がないことも多いため、飼い主様が早期に気付くことが重要です。
乳腺腫瘍は早期発見・早期手術によって良好な結果が期待できます。「しこりかな?」と思ったら様子を見ず、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。


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手術前と手術後の犬の乳腺腫瘍の写真です。幸いこの子は良性腫瘍でした。若いうちに避妊手術をすることが最大の予防方法ですが、早期発見であればわんちゃんへの外科手術の負担を最小限にすることができると思います。