症例紹介

犬の乳腺腫瘍の症状と原因、治療について|獣医師が解説

腫瘍科 症例紹介

犬の乳腺腫瘍の症状と原因、治療について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
犬が乳腺腫瘍に罹患することは、飼い主にとって心配事の一つです。この記事では、犬の乳腺腫瘍について、症状、原因、そして当院での治療について焦点を当てて解説します。

【犬の乳腺腫瘍の症状】

犬の乳腺腫瘍の症状は様々であり、乳腺に触れたときのしこりや腫れが一般的な兆候となります。他にも乳首からの異常な分泌物、食欲不振、活動量の低下などが見られることもあります。症状の早期発見は重要であり、定期的な健康チェックが効果的です。

【犬の乳腺腫瘍の原因】

乳腺腫瘍は遺伝的な要因やホルモンの影響が考えられます。未避妊の雌犬は発症リスクが高まる傾向があります。また、高齢や肥満もリスクを増加させる可能性があります。犬は生後10ヶ月から1年くらいから半年ごとに発情出血と呼ばれる外陰部からの出血が生じます。この時期は発情期と呼ばれ、オスの犬との交配で妊娠することができます。生後2回目の発情出血の前に、つまり1歳から2歳くらいまでの間に子宮卵巣摘出術を実施すると、将来乳腺腫瘍になる発生率を下げることができる報告があります。

【犬の乳腺腫瘍の治療】

獣医師の診断に基づき、乳腺腫瘍の治療法は患犬の状態によって異なります。一般的な治療法には手術、放射線療法、化学療法などが含まれます。手術は腫瘍の摘出を目的とし、進行具合に応じて他の治療法が併用されることもあります。治療の成功には早期発見と迅速な対応が不可欠です。
当院では乳腺腫瘍摘出手術や病理診断で再発の予防を含めた管理を行っています。犬の乳腺腫瘍は一般的に半分が良性腫瘍(つまり命にかかわらないもの)、半分が悪性腫瘍(肺転移などを引き起こし命に関わるもの)です。正確な診断は摘出手術後の病理検査で判明します。仮に悪性腫瘍であっても早期発見早期摘出ができれば完治を望めることがあり、腫瘍が小さいうちに外科手術を行うことが理想的です。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、乳腺腫瘍でご心配の際はお気軽にお問い合わせください。


次郎丸動物病院へのご予約・お問い合わせ

【電話受付】 9:30〜12:30/16:00〜18:30(診察終了30分前まで) 【休診】火曜・祝日・金曜午後

 


犬の乳腺腫瘍には画像のように有茎状(イボの塊が皮膚から分離している)ものや


次の画像のようにびまん性にあるもの(皮膚にへばりつくようにできているもの;赤丸で囲ってあるところ)があります。
どちらも外科手術をしてその腫瘤を病理検査することで悪性か良性か判断されます。早期発見早期摘出ができれば、悪性のものでも完治を目指すことができることがあります。
また、どちらのわんちゃんも避妊手術の時期が5歳以上になってから行っています。避妊手術を2回目の発情出血前に行うことができれば乳腺腫瘍になることを防げたかもしれません。
ご心配なことがあれば、お気軽にお問い合わせください。