症例紹介

犬の椎間板ヘルニアの症状と原因、治療について|獣医師が解説

整形・神経科 症例紹介

犬の椎間板ヘルニアの症状と原因、治療について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
わんちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。今回は、わんちゃんの椎間板ヘルニアの症状と原因、当院での治療についてお話しさせていただきます。

【はじめに】

犬の健康に関する重要なトピックの一つである椎間板ヘルニア。この病状は獣医学の専門家の注目を浴びており、その症状、原因、そして効果的な治療法について理解することは、飼い主さんにとって重要です。本記事では、獣医師の視点から犬の椎間板ヘルニアに焦点を当て、詳細に解説します。

【犬の椎間板ヘルニアの症状】

犬の椎間板ヘルニアにはさまざまな症状が現れます。これらの症状を正確に把握することは、早期の診断と治療につながります。
1.    不自然な歩行や動作: 犬が痛みを感じている場合、歩行が不安定になり、後ろ足を引きずることがあります。
2.    激しい痛みの表れ: 痛む箇所に触れると、犬が唸り声を上げたり、威嚇したりすることがあります。
3.    食欲不振: 痛みや不快感により、食欲が減退することがあります。
4.    尾の動きの変化: 尾が下がっていたり、あるいは振ることができなかったりすることがあります。
これらの症状が見られた場合は、速やかに獣医師の診察を受けるべきです。

【犬の椎間板ヘルニアの原因】

椎間板ヘルニアの主な原因は、椎間板が損傷を受け、内部のジェル状の物質が神経に圧迫をかけることです。これにはいくつかの要因が関与しています。
1.    年齢: 年をとるとともに、椎間板が変性する傾向があります。犬種によっては若い子でも急に椎間板ヘルニアを生じるケースがあります。(ハンセンI型)
2.    遺伝: 特定の犬種(ミニチュアダックスフント、シーズー、ビーグルなど)は遺伝的に椎間板ヘルニアのリスクが高まることが知られています。
3.    急激な運動: 突然の激しい運動や飛び跳ねるような動作が椎間板に負担をかけ、損傷を引き起こすことがあります。
4.    過度な体重と不適切な栄養バランス:体重が重いことや栄養バランスの崩れた食生活はリスクにつながります。

【犬の椎間板ヘルニアの治療法】

犬の椎間板ヘルニアの治療法は、症状の程度や犬の状態によって異なります。
1.    保存療法: 軽度の場合、安静と鎮痛剤の投与が効果的なことがあります。
2.    手術: 重度の椎間板ヘルニアの場合、手術が必要なことがあります。手術によって圧迫されている神経を解放し、症状の改善を図ります。

【まとめ】

犬の椎間板ヘルニアは飼い主としては心配な疾患ですが、早期の発見と適切な治療によって十分な改善が期待されます。獣医師の専門知識を頼りに、飼い主としては日常的なケアと定期的な健康チェックを大切にしましょう。
わんちゃんの健康に気を配り、健やかに過ごすためにも、早めの対応が大切です。当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。


次郎丸動物病院へのご予約・お問い合わせ

【電話受付】 9:30〜12:30/16:00〜18:30(診察終了30分前まで) 【休診】火曜・祝日・金曜午後

 


この写真は、椎間板ヘルニアの手術の写真です。この子は急な後肢麻痺を主訴で来院し、最初消炎剤を中心とする内科治療を行いましたが反応せず、脊髄にかかった圧力を減圧する目的の片側椎弓切除術(ヘミラミネクトミー)を実施しました。脊髄造影の結果、椎間板物質により腰の部分の脊髄が圧迫されていることがわかりました。脊髄を圧迫していた逸脱した椎間板物質を除去するために、背骨に小さな穴(青い丸の部分)を受傷部位の前後合わせて三つ開けて、脊髄の減圧を図っています。幸いこの子は歩行可能な状態まで回復することができました。