猫の変形性関節症の症状と原因、治療について|獣医師が解説
整形・神経科 症例紹介猫の変形性関節症の症状と原因、治療について|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
猫ちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。今回は、猫ちゃんの変形性関節症の症状と原因、当院での治療についてお話しさせていただきます。
猫の健康管理において、変形性関節症は重要な問題です。この疾患は、関節の軟骨や骨が劣化し、炎症を引き起こすことで、猫の生活の質を著しく低下させることがあります。ここでは、変形性関節症の症状、原因、そして有効な治療法について詳しく解説します。
【猫の変形性関節症の症状】
変形性関節症の猫は、歩行困難や関節の可動域の制限などの症状を示すことがあります。また、関節部分の炎症や腫れ、痛みを伴うこともあります。痛みがあるため、猫は関節を避け、活動量が減少することがよくあります。「びっこをひくようになった」という主訴で来院されるケースが多いです。
【猫の変形性関節症の原因】
変形性関節症の主な原因の一つは、猫の年齢です。加齢に伴い、関節の軟骨が劣化し、炎症を引き起こす傾向があります。そして、遺伝的要因や肥満、関節の負傷や炎症も変形性関節症のリスクを高める要因として挙げられます。近年人気の血統であるスコティッシュホールドは、軟骨異形成の体質があるため、比較的若い年齢で発症してくることがあります。
【猫の変形性関節症の治療】
変形性関節症の治療には、症状の緩和や進行の抑制を目的とした多岐にわたるアプローチがあります。猫の場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や痛み止めの投与が一般的です。さらに、適切な栄養管理や運動療法、物理療法なども重要です。重度の場合には、関節の手術が必要な場合もあります。近年モノクローナル抗体による新しい治療方法も行われるようになりました。
【猫の変形性関節症のまとめ】
猫の変形性関節症は、飼い主が注意深く観察し、早期に治療を開始することが重要です。定期的な健康チェックや適切な医療ケアを提供することで、猫の生活の質を向上させることができます。しかし、どの治療法が最適かは個々の猫によって異なるため、獣医師との相談が必要です。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。
このレントゲン写真は右前脚の痛みがあるという主訴で来院した4歳の猫のものです。上が右前脚、下が左前脚です。拡大するとよくわかるのですが、右の肘関節の周囲がモヤモヤと白く見えているのがわかります(赤矢印)。左肘にはこのような変化は認められません。関節炎が慢性化すると、骨や軟骨の変性が生じ、骨化してレントゲンでも変化が確認できるようになります。レントゲン上は些細な変化ですが、肘関節には大きな異常が生じており、慢性的に痛みを感じるようになります。この子の場合は非ステロイド系鎮痛剤の注射で症状が改善したため、経過観察となっています。