猫の尿検査で検出される異常と原因、治療について|獣医師が解説
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福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
猫は体調不良を隠す動物であり、腎臓や膀胱などの泌尿器疾患は、症状がはっきり出た時にはすでに進行していることも少なくありません。
そのため尿検査は、猫の健康状態を把握するうえで非常に重要な検査です。
この記事では、猫の尿検査でよく見つかる異常と、その原因、治療や対処法について、獣医師の立場から解説します。
尿検査でわかること
尿検査では、以下のような項目を総合的に評価します。
• 尿の色や透明度
• 尿比重(尿の濃さ)
• pH(酸性・アルカリ性)
• 蛋白、糖、潜血、ケトン体などの成分
• 尿沈渣(赤血球、白血球、結晶、細菌など)
これらの情報から、腎臓・膀胱・尿道・全身性疾患まで幅広く評価することができます。
尿が薄い(尿比重が低い)
●考えられる原因
尿が薄い状態は、腎臓が尿を濃縮できていない可能性を示します。
• 慢性腎臓病
• 急性腎障害
• 多飲多尿を起こす内分泌疾患
• 点滴や大量飲水の影響
●治療・対応
腎臓病が疑われる場合は、血液検査や画像検査とあわせて評価します。
慢性腎臓病では、食事療法や脱水予防、必要に応じた内服治療が中心となります。
尿に血が混じる(血尿)
●考えられる原因
尿中に赤血球が認められる場合、以下の疾患が疑われます。
• 特発性膀胱炎
• 膀胱結石・尿道結石
• 尿路感染症
• 腫瘍
• 尿道の炎症や外傷
治療・対応
●原因によって治療法は異なりますが、
特発性膀胱炎ではストレス管理と環境改善が非常に重要です。
結石や感染がある場合は、食事療法や抗菌薬、場合によっては外科的治療を行います。
尿に蛋白が出る(蛋白尿)
●考えられる原因
蛋白尿は、腎臓のフィルター機能の異常を示唆します。
• 慢性腎臓病
• 糸球体疾患
• 高血圧
• 炎症や出血による影響
●治療・対応
蛋白尿が持続する場合、血圧測定やUPC比の評価を行い、
腎臓への負担を減らす治療や、降圧薬の使用を検討します。
尿糖が陽性になる(糖尿)
●考えられる原因
尿に糖が出る場合、最も重要なのは以下の疾患です。
• 糖尿病
• 強いストレスや高血糖による一過性の糖尿
●治療・対応
血糖値やフルクトサミンを測定し、糖尿病かどうかを判断します。
糖尿病と診断された場合は、インスリン治療と食事管理が必要になります。
尿に結晶が見つかる
●考えられる原因
猫の尿中でよく見られる結晶には、以下の種類があります。
• ストルバイト結晶
• シュウ酸カルシウム結晶
結晶は必ずしも病気ではありませんが、結石形成のリスクになります。
●治療・対応
尿pHや食事内容を見直し、結晶の種類に応じた療法食を使用します。
飲水量を増やすことも重要な予防策です。
細菌や白血球が見られる(尿路感染症)
●考えられる原因
猫では犬に比べて尿路感染症は少ないですが、以下の条件では起こりやすくなります。
• 高齢
• 慢性腎臓病
• 糖尿病
• 膀胱結石の存在
●治療・対応
尿培養検査を行い、適切な抗菌薬を選択します。
基礎疾患の管理が再発防止の鍵になります。
尿検査が勧められるタイミング
• トイレの回数や様子が変わった
• 血尿が見られる
• 食欲低下や元気消失がある
• 7歳以上の定期健康診断
• 腎臓病や糖尿病の経過観察
症状がなくても、定期的な尿検査は早期発見につながります。
まとめ
猫の尿検査は、目に見えない体内の異常を教えてくれる重要な検査です。
特に腎臓病や膀胱疾患は、早期に発見し対処することで、猫の生活の質を大きく改善できます。
「少し気になる」「様子がいつもと違う」と感じたら、早めに動物病院で尿検査を受けることをおすすめします。
猫のおしっこを顕微鏡で見た写真です。このおしっこには珍しくリン酸アンモニウムマグネシウム結晶(通称ストラバイト結晶;赤矢印)とシュウ酸カルシウム結晶(黄色矢印)が写っています。それぞれで少しずつ治療方法が異なってきます。猫のおしっこの異常で尿検査は非常に重要になります。
これは尿検査紙で検査した結果です。目に見えない血尿でも潜血反応が検出されています。尿蛋白も少し検出されています。
