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猫の慢性腎不全の早期発見方法のポイントについて|獣医師が解説

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猫の慢性腎不全の早期発見方法のポイントについて|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
猫の死亡原因として常に上位に挙げられる「慢性腎不全」。
しかし、早期に発見できれば、治療やケアによって進行を遅らせ、猫の寿命を延ばすことが十分可能です。
今回は獣医師の視点から、猫の慢性腎不全を早期に見つけるためのポイントについて、わかりやすく解説します。

なぜ「早期発見」が重要なのか?

慢性腎不全は、腎臓の機能が約70%以上失われるまで目立った症状が現れにくい病気です。
つまり、症状が出たときにはすでにかなり進行していることが多いのです。
早い段階で異変に気づき、治療や生活管理を開始することで、
•    腎機能のさらなる低下を防ぐ
•    猫のQOL(生活の質)を維持する
•    寿命を延ばす
ことが期待できます。

猫の慢性腎不全、早期発見のためのポイント

1. 水を飲む量や尿の量やニオイに注目する

腎機能が落ち始めると、腎臓で尿を濃縮する力が低下します。
その結果、体は失った水分を補おうとするため、水を飲む量が増え、尿量も増える傾向が出てきます。
【チェックポイント】
•    飲み水の減りが早くなった
•    トイレの砂がいつもより湿っている
•    尿の塊(オシッコの量)が大きくなった
•    オシッコが臭くなくなって、色が薄い
これらは初期変化のサインです。

2. 体重の微妙な減少を見逃さない

慢性腎不全が進むと、食欲が落ちるだけでなく、筋肉量が減少して体重が徐々に減っていきます。
【チェックポイント】
•    体重が100~200g単位で減少している
•    背骨や腰の骨が触りやすくなった
特にシニア期(7歳以上)になった猫は、定期的に体重を測る習慣をつけることが重要です。

3. 毛並みや皮膚の変化を見る

腎臓機能の低下によって体内の代謝バランスが崩れると、毛ヅヤや皮膚の状態にも変化が出ます。
【チェックポイント】
•    毛がパサつく
•    毛づやが悪くなる
•    被毛の汚れを自分であまり舐めなくなる
•    皮膚が乾燥してくるため、皮膚を大きくつまむと皮膚のもどりが悪くなっている。
こうした変化も腎機能の異常を示すヒントになります。

4. 食欲や元気の低下に敏感になる

腎不全が進行すると、尿毒素が体にたまってくるため、食欲不振や軽い吐き気、元気のなさが出始めます。
【チェックポイント】
•    ごはんを残す日が増えた
•    以前より遊ばなくなった
•    ぼんやりしている時間が長くなった
「ちょっとおかしいな」と感じたら、様子見をせず獣医師に相談しましょう。

5. 定期的な血液検査・尿検査を受ける

症状だけに頼らず、数値で腎機能を確認することが何より確実です。
特に、
•    血液検査(クレアチニン、尿素窒素:BUN)
•    尿検査(尿比重、尿たんぱく)
を定期的にチェックすることが推奨されます。
【おすすめ検査頻度】
•    7歳以上の猫:年1回程度

まとめ

猫の慢性腎不全は「症状が出てからでは遅い」病気です。
だからこそ、飼い主さんが
•    水を飲む量やトイレの変化
•    体重の推移
•    毛並みや食欲の変化 を日頃から注意深く観察し、少しの異変でも早めに獣医師に相談することが重要です。
また、7歳を超えたら定期的な健康診断を受けることで、「早期発見」「早期ケア」が可能になり、大切な愛猫との時間をより長く穏やかに過ごせる可能性が広がります。
愛猫の健やかな未来のために、ぜひ今日からできることを始めてみましょう!


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