獣医師が動物の病気を治療する方法について(パート1)|獣医師が解説
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福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師はどうやって病気を治療するのだろうか」今回は、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。
【1: 動物の病気の原因は大別すると「年齢」「体質」「生活習慣(飼われ方)」に起因する】
動物は人間も含めて「生きて行ける」体の作りがあらかじめできています。しかし、時には生きて行ける体のバランスが崩れます。病気とはそのバランスに問題が発生したということを意味します。そのバランスが崩れる原因、つまり病気になる原因は「年齢」「体質」「生活習慣(飼われ方)」の三つに大別できます。
「年齢」:つまり歳をとることによって加齢による病気になります。また若いうちは、抵抗力がなかったり、成長での変化や体力の問題で病気になります。
「体質」:動物種や血統によっては、癌体質やアレルギー体質であったり、生まれながらによる先天的異常によって病気になります。犬や猫は人間の人為的な近親交配などによって作られた経緯を持つものがあるせいか、遺伝的に特定の病気になりやすい体質の子がいます。
「生活習慣(飼われ方)」:人の場合は生活習慣病などと呼ぶこともできますが、動物の場合、飼育されている食餌内容や、カロリー過剰、飼育環境の悪化などによって病気になります。肥満や栄養障害、事故などが起因し病気を発症してしまいます。
獣医師はこの「年齢」「体質」「生活習慣(飼われ方)」を念頭に置きながら、どうして目の前の動物が病気になってしまったのか、そしてその治療方法を探ってゆきます。
【2: まずは飼い主さんの話を聞くことと動物の一般身体検査から治療は始まる】
病気の動物を診察するにあたり、まず飼い主さんの話を聞くことから始まります。飼い主さんが自分のペットに対してどのようなことを心配しているのか、動物はどんな症状を起こしているのかについてお話を聞きます。動物は話ができませんから、飼い主さんのお話は、獣医師にとって病気の原因を探る重要な情報源となります。いろいろお話を聞くのは病気の原因を探るためですので、ご協力をお願いします。
次に動物の体の一般身体検査から、動物の体の変化を探ります。体温、心音や心拍数と脈圧、呼吸数や呼吸音、可視粘膜の色だけにとどまらず、毛のつや、肥満度、触ってわかる異常や痛みや腫れ、姿勢や目の輝き、年齢や性別や動物の性格、不妊手術の有無、便や尿の性状、皮膚の弾力性など、特別な検査を行わずとも観察できることから異常がないか、くまなく確認します。
このようにまず五感を駆使したやり方で動物の異常に関する情報を収集して、この子は何の病気なのか、どのように治療すれば良いかを考えていきます。
獣医師が病気を治療する仕事は、難事件の犯行現場に残された手がかりから犯人を見つけ出す刑事さんの仕事に似ています。飼い主さんのお話と動物の一般身体検査所見からまず犯人を類推するのです。
(パート2に続く)