子猫をお家に迎え入れた時、特に1ヶ月までの注意点について|獣医師が解説
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福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
新しく子猫を迎えた時、どのようなことに注意すべきかは飼い主さんの関心どころだと思います。今回は、当院で考える子猫をお家に迎え入れた時の注意点についてお話しさせていただきます。
【1. 事前の準備】
子猫を迎える前に、十分な準備が必要です。安全な場所を用意し、食事やトイレの場所を確保しましょう。必要なケア用品も揃え、子猫がストレスなく新しい環境に適応できるように心掛けましょう。お家に来てから2週間ほどは非常に重要な時期です。すでに先住猫がいる場合は、新しく迎え入れた子猫は隔離して飼育した方が良いです。理由は保護された猫の場合、猫エイズや猫白血病などの伝染病を持っている可能性があるためと、先住猫が新しい猫に慣れるまでの間に時間がかかることがあるためです。購入された猫でなければ、お家に迎え入れた2週間後に動物病院で猫エイズと猫白血病の血液検査をして陰性であることを確認してから先住猫と一緒にした方が良いでしょう。
【2. まずは動物病院へ】
子猫を迎え入れるパターンとして、①保護した子猫を迎え入れる②購入した子猫を迎え入れる、という2つのパターンがあると思います。①の時はその子の週齢や、ノミなどの外部寄生虫の有無、回虫などの内部寄生虫の有無、離乳が終わっているかなどによってその対応が大きく変わってきます。また、②の時は移動ストレスや大きな環境の変化、純血種特有の問題点などを把握した上での初期のケアが大切になります。このようなことから、お家に迎えた当日または翌日には一度動物病院を訪れて、獣医師の診察を受けてから飼育を開始した方が安全です。かかりつけ医が必要となりますので、信頼できる動物病院を予め見つけておくことをお勧めいたします。
【3. バランスの取れた食餌】
その子の週齢や発育段階によって、フードの内容や量が変わってきます。特に保護された子猫の際は獣医師の診察によって、その子が食べるべき食餌が変わってきます。子猫の目が開くのが10から14日ほどと言われていますが、そのくらいの時期は猫用の総合栄養食でもある粉ミルクで、3〜4時間おきに人工哺乳をしないといけないでしょう。また、離乳時期はその子の食欲や発育状況、便の性状を見ながら判断する必要があります。食餌の1日の回数や量も発育状況によって変わってきますので、獣医師による判断を仰ぐのが賢明です。粉ミルク、離乳食、ふやかしたドライフード、そのままのドライフードなど、どのような食餌内容で飼育するときでも、必ず総合栄養食(そのフードだけで猫の栄養素を満たしているもの)で飼育することが重要です。牛乳やねこまんま、猫のおやつ(チュールなど)では栄養が十分に取れず、また消化器症状を起こしたりして危険な状態になるので、猫用の総合栄養食以外のものを与えるのはやめましょう。
【4. 愛情と遊び】
子猫は好奇心旺盛で遊ぶことが大好きです。十分な遊びと愛情を提供し、強い絆を築きましょう。適切なおもちゃで遊ぶことは、子猫の運動と知的刺激になります。生後120日齢くらいまでの時期を社会化期と呼び、人や他の猫との関係性や環境の許容の成否において重要な時期となります。伝染病への注意点を含め動物病院と相談しながら、生後2ヶ月目からのワクチンプログラムや駆虫処置、環境整備の対応方法を進めていきましょう。
【5. 安全な環境の確保】
お家の中には子猫にとって危険なものがたくさんあります。電気コードや小さな物品に気を付け、安全な環境を整えましょう。また、毒性のある植物や食品にも十分な注意が必要です。釣竿におもちゃがついた猫用玩具は、おきっぱなしにしておくと知らないうちに、先のおもちゃとひもだけ飲み込んで、手術や内視鏡で取り除かないといけないようなことが起こりますので、遊んだ後は必ず片付けておきましょう。
【結論】
子猫を迎えることは素晴らしい経験ですが、その幸福な瞬間に先立ち、慎重な計画とケアが求められます。獣医師が解説するこれらの注意点を守りながら、新しい家族との素晴らしい日々を迎えましょう。生後6ヶ月以上になると発情がきて性成熟を迎える個体がありますので避妊去勢手術について検討する必要が出てきます。猫は普通、避妊去勢手術を行わないと完全室内で飼育することは困難であり、外に出る個体は交通事故か伝染病のため短命になる傾向があります。飼育者の意向によって生後半年以上で避妊去勢手術への対応が必要になってきますので、動物病院と相談しながら進めていくようにしましょう。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。