獣医師が動物の病気を治療する方法について(パート2)|獣医師が解説
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福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師はどうやって病気を治療するのだろうか」今回は、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問についての解説パート2です。
【3: 問題点を洗い出して、どの病気が疑われるか絞り込む】
前回までで、動物の治療はまず、飼い主さんの話と一般身体検査の所見で、病気という「犯人」を類推することから行うことをお話ししました。この時点で、獣医師の頭の中にはいくつかの病気の原因(犯人)が浮かんでいますが、まだどれが本当の犯人か確証が取れません。病気の原因を確定するための証拠が必要です。そのために必要な検査は何か考え、飼い主さんに提案します。刑事さんが、犯人と断定できる物的証拠がないか見つけるための試行錯誤に似ています。
【4: 絞り込んだ病気を確認するために検査を行う】
獣医師にとっては血液検査やレントゲンや超音波エコー検査など、診断機器によって、病気の証拠となる異常を発見することは、刑事さんが物的証拠を見つけることに似ています。診断機器を用いた検査は強い味方です。しかし、診断機器を用いた検査はいかにも病気の原因を発見できるように思われますが、前の段階の飼い主さんの話と一般身体検査で、ある程度病気の原因を特定した上でないと十分な威力を発揮できません。「犯人の類推」がある程度正確でないと、検査をしても病気を見逃してしまうことが起こりえるからです。闇雲に検査をするわけにもいきませんから、必要最小限の検査を、十分な効果を発揮するように行わなければなりません。刑事裁判でも証拠の吟味を丁寧にするように、獣医医療では、検査の選択やその結果の吟味を丁寧に行うことで病気の原因を特定できます。
(パート3へ続く)