症例紹介

犬の目のまぶたのできもの(眼瞼腫瘤)の症状と原因、治療について|獣医師が解説

眼科 症例紹介

犬の目のまぶたのできもの(眼瞼腫瘤)の症状と原因、治療について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
わんちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。今回は、わんちゃんの目のまぶたのできもの(眼瞼腫瘤病変)の症状と原因、当院での治療についてお話しさせていただきます。
犬の健康と幸福は飼い主にとって最優先事項です。その中で、犬の目のまぶたにできるできものは飼い主にとって心配事の一つかもしれません。この記事では、犬の目のまぶたのできものについて、症状、原因、そして適切な治療について獣医師が詳しく解説します。

【犬のまぶたのできものの症状】

犬のまぶたのできものは、さまざまな種類があり、それぞれ異なる症状を示すことがあります。一般的な症状は以下の通りです:
1.    腫れ: まぶたにできものがある場合、腫れや腫脹が見られることがあります。
2.    赤み: できものが炎症を引き起こす場合、まぶた周辺が赤くなることがあります。また、炎症が波及し結膜や角膜に炎症を引き起こすことがあります。
3.    かゆみ: 犬はまぶたのできものがかゆいと感じ、まぶたをこすったり挙動不審になることがあります。まぶたをこすることで、目の内側に損傷を与えることがあります。
4.    分泌物: できものから分泌物が出ることがあり、これは感染の兆候であることがあります。

【犬のまぶたのできものの原因】

犬のまぶたにできるできものの原因は多岐にわたります。一般的な原因には以下が含まれます:
1.    腫瘤: 悪性腫瘍や良性腫瘍などの腫瘍病変や炎症でコブのようになった病変がまぶたにできることがあります。腫瘍は犬の年齢、遺伝的要因、および環境要因に関連していることがあります。眼瞼腫瘤の代表的なものに、マイボーム腺腫や悪性黒色腫などの腫瘍や、第三眼瞼の涙腺が腫れる炎症性病変であるチェリーアイなどがあります。
2.    外傷: まぶたが怪我をした場合、瘢痕組織ができ、それができものとして現れることがあります。
3.    アレルギー反応: 犬のまぶたはアレルギーに反応することがあり、これができものの原因となることがあります。
4.    感染: 細菌、ウイルス、真菌などがまぶたに感染すると、できものが形成されることがあります。

【犬のまぶたのできものの治療】

犬のまぶたのできものの治療は、その原因と性質に依存します。以下は一般的な治療オプションです:
1.    外科的手術: 腫瘍や大きなできものの場合、外科的手術が必要となることがあります。これにより、できものを完全に取り除くことが可能です。
2.    薬物療法: 感染症の場合、抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬などが、注射薬、内服薬や目薬として処方されることがあります。
3.    アレルギー管理: アレルギーが原因の場合、食事の適正化などのアレルギーの管理や対処療法が行われることがあります。
4.    経過観察: 腫瘍が良性で小さな場合、獣医師は経過観察を行い、必要に応じて治療の変更を検討することがあります。
犬のまぶたのできものについて心配な場合は、早めに獣医師に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、最適な治療方法を見つけるのに役立ちます。

【まとめ】

犬のまぶたのできものは病気や外傷の兆候であることがあります。適切な治療と早期の診断が犬の健康と快適さを確保する鍵です。獣医師の助言に従い、犬のまぶたの健康を守りましょう。
当院では、まぶたのできものに対して原因を特定した上で、外科的対応や内科的対応を行なっております。病状について説明させていただいたのちに飼主様と綿密に相談して飼い主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。


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左目の上瞼に腫瘤(イボ)が出来たワンちゃんの事例です。腫瘤をV字に切開して吸収糸を用いて縫合し摘出します。病理検査ではマイボーム腺腫と呼ばれる眼瞼腫瘤でした。


手術後のこの子の様子です。腫れが引くとイボがなかったように整形することができます。


犬猫には、瞬膜と呼ばれる3番目のまぶたが目の内側に存在します。この瞬膜にある涙腺(涙を分泌する腺)が腫れて写真のように突出することがあり、通称チェリーアイと呼ばれます。このイボは摘出すると涙の量が減少しドライアイになることがあるので、吸収される糸を用いて中の方に癒着させ、目に影響がなくなるようにする手術が行われることがあります。


手術をすると写真のようにチェリーアイが目立たなくなり、結膜炎や角膜炎などの合併症を抑えることができます。