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犬の痙攣(けいれん)発作の症状と原因、治療について|獣医師が解説

整形・神経科 症例紹介

犬の痙攣(けいれん)発作の症状と原因、治療について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
わんちゃんが突然の痙攣(けいれん)発作を起こす光景は、飼い主にとって非常に心配な瞬間です。犬の痙攣発作はさまざまな原因によって引き起こされる可能性があり、適切な対処が求められます。今回は、わんちゃんの痙攣発作の症状と原因、当院での治療についてお話しさせていただきます。

【痙攣発作の症状】

犬の痙攣発作は、筋肉が急激に収縮・弛緩する現象です。症状は個体差がありますが、一般的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
1.    筋肉の硬直と震え: 犬が急に体を硬直させ、震えるような動きを見せることがあります。
2.    けいれん: 脚や体がひきつるようなけいれんが発生することがあります。
3.    異常な行動: 痙攣中に異常な行動をすることがあります。舌を出したり、よだれをたらしたり、失禁したりすることがあります。
4.    重積発作:痙攣が長く続くものであると大変危険です。筋肉の収縮のため発熱し、脳神経に障害が及ぶと命の危機になります。突然死に至ることもあります。
痙攣発作は通常数分間から数十分間続くことがあり、その後に犬はしばらくの間、混乱や疲労を感じることがあります。

【痙攣発作の原因】

痙攣発作はさまざまな原因によって引き起こされる可能性があります。一般的な原因としては以下が考えられます。
1.    てんかん: 遺伝的な要因や脳の機能異常によって脳神経の異常興奮や抑制によるてんかん発作が発症することがあります。
2.    脳の疾患: 脳腫瘍、炎症、外傷などが痙攣発作の原因となることがあります。
3.    中毒: 毒物摂取(例: チョコレート、植物の一部、ナメクジ駆除剤、薬品など)が痙攣を引き起こすことがあります。
4.    低血糖: 血糖値が急激に下がることで痙攣が発生することがあります。
5.    腎不全:尿毒症が進むと痙攣を引き起こすことがあります。
6.    心疾患:典型的な痙攣とは異なりますが、痙攣や突然の意識消失が起こる原因が心不全にあることもあります。
7.    高アンモニア血症:肝門脈シャント症や重度の肝不全などで血液中のアンモニア濃度が上昇すると痙攣が生じることがあります。
8.    電解質異常:血液中のミネラルイオンのバランスが何らかの原因で崩れると痙攣につながることがあります。

【痙攣発作の治療】

痙攣発作が起きた場合、飼い主の冷静な対応が重要です。以下に治療の一般的なアプローチを示しますが、病状や状況によって異なる場合がありますので、直ちに動物病院に相談することが大切です。
1.    安全確保: 痙攣中に犬が危険な場所にいる場合は、周囲を安全な場所に移動させます。頭や体をぶつけてしまう時は、抱っこしたり、エリザベスカラーの着用や、柔らかいクッションなどで動物を保護する様にします。
2.    環境の静かさ: 環境を静かに保ち、犬のストレスを軽減します。
3.    刺激の排除: 明るい光や騒音を避け、刺激を減らします。
4.    動物病院へ連絡:動物病院で痙攣の原因を突き止め、対処するようにします。
もし痙攣が2分以上続く場合や、痙攣後も犬が回復しない場合は、迅速に獣医師に連絡し専門家のアドバイスを受けることが重要です。獣医師は適切な診断を行い、痙攣発作補止める治療を行い、必要に応じて抗てんかん薬を処方することがあります。

【まとめ】

犬の痙攣発作は飼い主にとって驚きと心配をもたらす症状ですが、正しい知識と適切な対処法で対応することができます。初めての痙攣の際は動物病院で痙攣の原因をある程度特定することが大切です。しばらく様子をみれる状態なのか、直ちに何らかの治療が必要なのかを動物病院で判断してもらうことになると思います。痙攣発作の症状や原因を理解し、獣医師と連携して適切なケアを行うことで、愛犬の健康を守る手助けができます。
当院では、緊急の痙攣発作にも対応しています。また、MRIなど頭蓋内断層画像診断が必要な場合、専門病院に紹介することも可能です。痙攣発作は、長く付き合っていかなければならない事例もありますが、適切な投薬方法や対応方法などもご相談を承っております。当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、何かお聞きになりたいことがあれば、お気軽にお問い合わせください。


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