「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」概要編|獣医師が解説
皮膚科 症例紹介「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」概要編|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」夏場になって温度と湿度が上がるこの季節は、皮膚病が悪化しやすい季節です。今回は、当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「概要編」です。
【1.動物病院で治療する病気の20~30%が皮膚疾患】
動物病院ではいろいろな病気を治療するケースがありますが、概算として動物病院で治療する病気の20~30%が皮膚疾患と言われています。つまり動物病院で治療する病気のかなりの数が皮膚疾患ということです。皮膚病は体質や季節性、飼育方法の影響を受けやすいため、特定の種類、特定の血統、特定の時期、肥満の度合いなどが関係し生じてきます。よって正確な診断と適切な治療方法や管理方法で治療しないと改善しない事例が非常に多い病気です。「湿疹があるから外用薬で治療」といった単純な方法で治ることはむしろ少なく、年齢、性別、動物種、血統、避妊去勢手術の有無、季節、飼育方法など、動物の内的要因と外的要因を総合的に判断して治療する必要があります。
【2.他の病気と違う「診断的治療」が必要なところ】
そして皮膚病は、他の病気とちょっと違って、最初の診察で診断(その子が何の皮膚病で悪くなっているのか)が特定できないことがしばしばあります。そこでしばらくの間、1週間間隔程度で通院治療を行っていただき、その治療への反応を確認することで初めて診断がついてくることが多いです。これを「診断的治療」と言います。もちろん初めての診察の時に「この皮膚病ではないかな?」と見立てを立てる、仮診断に基づいて治療を開始ししますが、レントゲンですぐにわかってしまう「骨折」とか血液検査でわかってしまう「腎不全」とかといった病気のように、最初の診察で確定診断をすることができることは稀です。実はこの辺りが味噌で、獣医師によって仮診断の見立てや、診断的治療の評価が多少異なってくることがあるので、診断や治療の方法にバラエティがあることも皮膚疾患の治療の特徴でもあります。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。(つづく)