「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」検査編1|獣医師が解説
皮膚科 症例紹介「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」検査編1|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「検査編1」です。
【3.皮膚病のための代表的な検査】
前回、皮膚病は診断的治療を行うことによって確定診断がつくことが多く、最初の診察では診断を確定できないことが多いことについてお話ししました。とはいっても、最初の診断である程度の皮膚病の仮診断を絞り込む必要があります。そこで、皮膚疾患の初診時に当院では以下の、皮膚病の原因を突き止め、原因を見逃さないための検査を行います。皮膚病の検査には様々な方法がありますが、その中で代表的な検査、皮膚そうは検査、セロテープ染色検査、ウッドライト検査、皮膚細胞診検査についてお話しします、
【4.皮膚そうは検査】
そうは、とは「掻爬」と書きます。つまり、皮膚の病変部を引っ掻いてその時に採取されるフケなどの掻爬物を顕微鏡で観察する検査です。この検査では主に皮膚の表面に寄生するニキビダニ(アカラス)と呼ばれる寄生虫や疥癬(カイセン)ダニと呼ばれる寄生虫を検出する目的で行われます。これらのダニは、目で見ることができない小さな寄生虫で、皮膚そうは検査でないと検出できません。ダニがいれば、そのダニを駆虫する治療方法を行わないと皮膚病が改善しないので、ダニを見逃さないために重要な検査となります。検査の限界としては、数ヶ所の皮膚そうは部位からしか検出できないので、どうしてもダニの寄生を見逃すことがあり得るので、診察のたびに何度か検査を行う必要があることもあります。(つづく)
皮膚そうは検査の写真です。
そうはした掻爬物を顕微鏡で観察すると目に見えない大きさの寄生虫が検出されることがあります。写真はニキビダニ(アカラス)の写真です。