症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」検査編2|獣医師が解説

皮膚科 症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」検査編2|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」今回は、当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「検査編2」です。

【5.セロテープ染色検査】

この検査は、その名の通り、皮膚病変にセロテープを押し当てた後、特殊な染色方法によって染色し、微生物の病原体を検出するための検査です。主に細菌やマラセチアと呼ばれる酵母の病原体を検出するために行われます。マラセチアはセロテープ染色検査によって、小さな丸い濃い紫の病原体として染色されてきます。酵母の一種の病原体であるため、細菌をやっつける抗生物質では治療できないため、イミダゾール系の抗真菌剤で治療する必要があります。また、マラセチア皮膚病に罹患した動物は、独特な甘いような匂いがします。マラセチアは脂性が大好きなので、脂漏症(いわゆる油っぽい皮膚感を持つ皮膚の症状)に罹患した動物がセロテープ染色検査でマラセチア陽性と診断されることが多いです。そこでマラセチア症の治療には脂漏症への対策も大切になります。


セロテープ染色検査をしているところです。


赤矢印にあるような酵母の一種であるマラセチアが検出されることがあります。

【6.ウッドライト検査】

この検査は、皮膚の病原体を検出するために作られた、ウッドライトというブラックライトを暗所で照射することで、皮膚真菌症(主に人間では水虫の原因となるような皮膚に繁殖するカビ(白癬菌など)が原因となる皮膚病)を検出する検査です。皮膚真菌症に罹患した動物は、毛先やフケにこの病原体が付着しており、ウッドライトを当てるとプラネタリウムのように緑がかった白色にキラキラ閃光して病原体を発見することができます。皮膚真菌症の病原体も抗生物質でやっつけることができないので、ウッドライト検査で皮膚真菌症があるかないか確認することは治療薬を用いる上で大切になります、限界として、ウッドライトで閃光を発するのは特定の真菌だけなので、ウッドライト検査だけでは他の病気を見逃すことになることがある点です。


このウッドライトと呼ばれるブラックライトを照射することで皮膚真菌症の病原体を発見できることがあります。


プラネタリウムの星のようにキラキラ蛍光を発します。皮膚真菌症を疑う所見です。(つづく)


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