症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」検査編3|獣医師が解説

皮膚科 症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」検査編3|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」今回は、当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「検査編3」です。

【7.皮膚細胞診検査】

この検査は、皮膚の一部を切除して病理検査の標本を作成し、皮膚病変の部位にどのような細胞が集合しているか、また、どのような病原体が検出されるかを検査する方法です、簡易版として皮膚病変にスライドグラスを押し当てて、そのスライドグラスをギムザライト染色という方法で染色し、細胞や微生物を検出する方法もあります(スタンプ検査)。主に自己免疫性疾患(自分の免疫力の暴走によって生じる皮膚疾患)や皮膚の腫瘍(いわゆる皮膚がん)の検出のために行われることが多い検査です。デメリットとして、専門の病理医の診断を仰ぐ必要が多いことと、時に全身麻酔下で再剤しなければいけない点です。ただ難治性の皮膚疾患の場合、検査をする必要があることが多いです。


皮膚細胞診検査の簡易版であるスタンプ検査を行なっているところです。皮膚に直接スライドグラスを押し当てて標本を取ります。


スタンプ標本で皮膚組織球腫という良性腫瘍と診断された事例の顕微鏡写真です。この病変は、若い犬で顔や前脚に急速に大きくなる、3ミリほどのただれたイボの病変を形成しますが、2から3ヶ月程度で急速に退行し、イボが無くなってしまいます。このため特別な治療を行う必要がないことが多い皮膚病変です。

【8.皮膚の検査は初診時や、治療への反応が悪い治療見直し時に行うことが多い】

代表的な皮膚検査について説明させていただきましたが、皮膚病の検査はそのメリットと限界を十分把握して実施評価される必要があり、診断的治療への反応によって確定診断に結びつけてゆくことが必要です。アトピーや食物アレルギーなどいわゆるアレルギーが関連した皮膚病の可能性があるときは血液検査やパッチテストなどのアレルギー検査が必要となるケースがあります。アレルギー検査にもメリットと限界があり、特に費用対効果を考えて実施される必要があります。(アレルギー検査は費用が高額である上に、結局は飼育方法の改善を行わなければ治療効果が出せないことも多いです。つまりアレルギー検査をしなくても飼育方法の改善だけで皮膚病が改善するケースも多く、飼い主さんの動物の飼い方の改善がアレルギー性皮膚病が疑われる動物の治療の根幹となってきます。当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。(つづく)


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