症例紹介

犬の毛包虫症(アカラス、ニキビダニ)の症状と原因、治療について|獣医師が解説

皮膚科 症例紹介

犬の毛包虫症(アカラス、ニキビダニ)の症状と原因、治療について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
わんちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。獣医師による専門的な知識が求められる犬の健康に関するトピックの中で、今回は、わんちゃんの毛包虫症(アカラス、ニキビダニ)の症状と原因、当院での治療についてお話しさせていただきます。

【犬の毛包虫症とは?】

毛包虫症は、寄生虫である毛包虫(アカラス、ニキビダニとも呼ばれます)によって引き起こされる犬の皮膚の病気です。この病気は、特定の症状が現れるまでしばしば気付かれず、早期発見が重要です。

【犬の毛包虫症の症状】

毛包虫症の症状は様々であり、以下に挙げるいくつかの皮膚疾患の典型的なサインがあります。
1.    かゆみと掻痒感: 犬が体をよく掻いたり、かゆがったりすることがあります。
2.    毛の抜け落ち: 感染が進行すると、被毛が抜け落ちることがあります。
3.    炎症や腫れ: 感染した部位に赤みや腫れが生じることがあります。
4.    毛ヅヤの悪化: 全身的に症状が認められると毛ヅヤや毛並みが悪化します。
これらの症状が見られた場合は、早急に獣医師の診察を受けることが重要です。ここに書かれたように皮膚症状だけでは他の皮膚病との区別は困難です。

【犬の毛包虫症の原因】

毛包虫症の主な原因は、毛包虫(Demodex;アカラスとも呼ばれます)と呼ばれる寄生虫です。これらの寄生虫は通常、免疫機能が低下している犬やストレスを受けている犬に感染しやすい傾向があります。また、遺伝的な要因も関与していることがあります。症状がない犬でも感染していることがあります。
病変部の皮膚を引っ掻いてそのサンプルを顕微鏡で観察すると(皮膚そうは検査)毛包虫が確認されることで診断されます。

【犬の毛包虫症の治療法】

毛包虫症の治療には、症状の程度に応じていくつかのアプローチがあります。
1.    薬物療法: 獣医師が処方する薬物を使用して、寄生虫を制御することがあります。当院では内服や定期的な注射、滴下薬、外用薬など、その子その子に応じた方法で対処します。
2.    栄養補助: 適切な栄養補助や食事の改善により、免疫機能を強化することが重要です。特に総合栄養食以外の食べ物(犬のおやつや人の食べ物)を食べている子は食事の適正化が必要です。
3.    環境管理: 犬の環境を清潔に保ち、ストレスを軽減することも治療に寄与します。
治療は犬の個々の状態によって異なるため、専門的な診断と治療計画が必要です。適切な治療法を見つけるためには、獣医師との協力が欠かせません。

【まとめ】

犬の毛包虫症は適切な診断方法による早期発見と適切な治療が重要です。この記事を参考にして、愛犬の健康管理に対する理解を深め、獣医師と連携して問題を解決していきましょう。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。


次郎丸動物病院へのご予約・お問い合わせ

【電話受付】 9:30〜12:30/16:00〜18:30(診察終了30分前まで) 【休診】火曜・祝日・金曜午後

犬の皮膚そうは検査で検出された毛包虫(アカラス、ニキビダニ)です。顕微鏡でしか確認できないほどの大きさですので、肉眼では見えません。尾が長い、細長い形をした特徴的なダニです。このダニは皮膚の表面の毛穴の奥底に生息しています。体表から落ちてしまうと生きられませんので、感染は親犬や他の犬との接触と、その子の免疫力の問題で起こります。種特異性が強く、犬には犬の毛包虫しか感染できませんので、人にうつることはありません。(ただし人の毛包虫が他の人から感染することはあります)感染が多数になると皮膚に炎症を引き起こすので、かゆみや脱毛が見られます。子犬の毛包虫症は、免疫力の問題で感染していることが多いため、成犬になると治癒する事があります。成犬の毛包虫症は、一生涯の治療が必要となる事が多いです。