「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」診断編3|獣医師が解説
皮膚科 症例紹介「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」診断編3|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」
今回は、当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「診断編3」です。
【12.皮膚と粘膜の変わり目の病変=アレルギーが関与した皮膚疾患が絡んでいる】
目の周囲(つまりまぶた)や口唇や肛門周囲など、いわゆる皮膚と粘膜(潤った表皮の部分)の変わり目の部分に皮膚疾患がある際は、アレルギーや自己免疫性疾患などの体質が関連する皮膚病を疑うことになります。食べているものや家のほこり、花粉や化学物質に反応していることが考えられるので、食餌の見直しや食器、おもちゃなどへの反応を疑い、それを取り除くことを考えていかなければなりません。自己免疫性疾患とは、体外の物質ではなく、自分の細胞に免疫が反応してしまう疾患で、皮膚のバイオプシーで病理診断を行う必要があります。アレルギー関与の場合、飼育方法の再検討とアレルギーを抑える薬(ステロイドやオクラシチニブ)などの使用が必要となることがあります。近年、腸内細菌叢や不飽和脂肪酸の摂取割合、肥満度などが皮膚のアレルギー疾患をコントロールすることに重要であることがわかってきているので、食生活の見直しは大切と考えられるようになっています。
チワワの子犬ですが、両目とも縁取られるように毛が抜けて、まぶたがやや腫れぼったい感じがします。このような病変が「皮膚と粘膜の変わり目」の皮膚病変で、アレルギーによる皮膚反応が生じている可能性を考えます。
柴犬もアレルギー性の皮膚病を引き起こしやすい犬種として知られています。この子も両目とも脱毛とまぶたの腫れぼったさを認め、同じような病変が見られます。このような子は食餌を気をつける必要があり、まず行うことは総合栄養食のドックフードのみで飼育し、他のおやつ類などの食べ物を一切与えないようにすることです。その後反応がなければ、低アレルギーフードなどへの変更を考慮します。注意点はアレルギーが疑われる事例の子は、おやつなどを一切与えないようにすることが大切だということです。
家のほこりや花粉や煙などに反応をしていることもありますので、できる範囲で取り除く努力をすることで改善することがあります。