症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」診断編4|獣医師が解説

皮膚科 症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」診断編4|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」今回は、当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「診断編4」です。

【13.足の先の皮膚炎、いわゆる趾端皮膚炎について】

足の先をしゃぶるように痒がり、悪化すると足先がドラえもんの手のように腫れ上がり、びっこの原因になっているような事例もよく遭遇します。この趾端皮膚炎についてもアレルギーが関与した皮膚疾患が絡んでいるケースが多いようです。また、散歩のたびに手先を濡れたタオルやウエットティッシュで拭いている子は趾端皮膚炎になることが多いようです。
皮膚病の悪化原因として必ず頭の中に入れていかないといけないことは、①アレルギーの関与がないか②温度湿度の関与がないかということです。
①は食べ物や接触するものに何らかの怪しい化学物質がないかを疑い、②は濡れるエピソードや温度湿度の高い季節の影響で余計な細菌繁殖させていないかを疑います。
手先が濡れたり、アルコールや消毒薬を含む液体で湿ってしまうことが、局所的な炎症反応や細菌繁殖を引き起こす可能性があるため、手先を濡らす行為は避けた方が無難であり、当院では、日々の手先のケアは、渇いた綿でできたタオルなどで拭く程度にしておき、どうしても濡らすことがある時は、ドライヤーで乾かすようにすることをお話ししています。もちろん悪化した趾端皮膚炎は、外用薬や内服薬の投与の治療や毛刈りが必要になってきますので、動物病院にご相談ください。(つづく)


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このワンちゃんは皮膚の症状が治らないということで来院されました。特に前と後ろの趾端(足先)がふけと皮膚の肥厚でゾウの皮膚のようになっていました。検査や症状からアレルギー性皮膚炎、細菌性皮膚炎、マラセチア性皮膚炎が疑われました。
そこで趾端への治療は
①手足を洗わない。外出後乾いたタオルできれいにふく。
②今食べている総合栄養食のドックフードのみで飼育する。
③週1回程度の通院時に外用薬を塗布する。
ということを主眼に行いました。


3週間後のこの子の趾端皮膚炎の状況です。まだ完全には回復していませんが、足の腫れがひいて発毛が認められるのがわかると思います。もう少し時間はかかりますが、この状況を維持すれば、健康な時と同じところまで回復することも可能でしょう。オーナーさんも満足されておられました。このように趾端皮膚炎は、さまざまな皮膚疾患に合併して生じますが、特に濡らさないこととフードだけで飼育することを気をつけて管理すると、著しい回復を認めることがあります。人間は外出後手を洗いますので、そのつもりで犬も同じように手先を毎回洗ったり、濡れたタオルで拭く、ウエットティッシュでふくなどのケアを行いたくなりますが、「手先がぬれる行為を毎日を行う」と、手先に炎症を躍起することがありますので、濡らさないで乾いたタオルできれいにふくようにすると良い結果が出るようです。