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猫のスコティッシュフォールドの病気とその対応について|獣医師が解説

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猫のスコティッシュフォールドの病気とその対応について|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
猫ちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。特に血統によってなりやすい病気があります。今回は猫のスコティッシュフォールドの病気とその対応方法についてお話しします。
猫のスコティッシュフォールドは、独特の外見と個性的な性格で人気のある品種ですが、特定の健康上の問題を抱えています。

1.    軟骨形成不全(Osteochondrodysplasia):

対応策:軟骨形成不全は、スコティッシュフォールドが特有のたたずまいを持つ原因の一つです。この猫が後ろ脚を投げ出してお尻で座るような仕草を取るのは、手や足の関節に痛みを抱えているためのことが多いようです。耳が垂れている独特の容姿は、実は軟骨形成不全の遺伝的体質を持っていることから見られます。よって耳の垂れ方が目立つ子ほど軟骨形成不全の症状の程度がひどいことが多いようです。この状態に対処するためには、飼い主がスコティッシュフォールドの体重管理を適切に行い、関節に過度の負担をかけないように注意することが重要です。また、関節をサポートするため、体にあった総合栄養食だけで飼育することも痛みをコントロールすることに役立ちます。注射や内服薬、サプリメントなどの治療により痛みをコントロールすることで穏やかに生活することができるようになることもあります。

2.    関節疾患:

対応策:関節疾患は軟骨形成不全に継発して生じます。年齢を経るごとに関節の変形を認める個体もいます。関節疾患のリスクを軽減するためには、栄養や体重管理が重要です。また、関節サポートのためのサプリメントや食事療法を検討し、定期的な獣医の診察を受けることで早期に問題を発見し、適切に対処することができます。

3.    腎臓疾患:

対応策:腎臓疾患はスコティッシュフォールドの健康上の重要な問題です。ポリシスチン腎症(PKD)などの腎臓疾患の早期発見と管理が重要です。遺伝的要因が関与する可能性があるため、ブリーダーとの相談や遺伝子検査の活用が健康な子猫の生産に役立ちます。

4.    心臓疾患:

対応策:心臓疾患の早期発見と管理が重要です。定期的な獣医の診察を受け、心臓の健康状態を定期的に評価することが必要です。他の洋猫と同じように若くして肥大型心筋症や拘束型心筋症になりやすい印象があります。また、ろうと胸と呼ばれる胸骨の変形により胸腔が狭く、心臓の機能に影響を及ぼしていることもあるようです。胸部レントゲンや心臓エコー検査で程度を測定し、血栓塞栓症にならないような管理が必要となることがあります。

5.    肥満:

対応策:スコティッシュフォールドは肥満になりやすい傾向があるため、適切な栄養管理と運動を行うことが重要です。肥満は関節や心臓に負担をかける可能性がありますので、理想的な体重を維持するための適切な管理が必要です。肥満になりやすい体質の子は糖尿病に罹患しやすいことがあるので、水をいっぱい飲んだりおしっこをいっぱいするなどの症状がある場合は検査が必要です。

まとめ

以上の対応策を講じることで、スコティッシュフォールドの健康と幸福を促進し、可能な限り病気や健康問題を予防することができます。体質上の問題を完全に無くすことはできませんが、猫のおやつなどの給餌は健康上の問題を引き起こすため、避けた方が無難でしょう。定期的な獣医の診察と適切なケアを提供することが、スコティッシュフォールドの長い健康的な生活を支援する鍵となります。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。


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