症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」各論編4|獣医師が解説

皮膚科 症例紹介

「動物の皮膚病をどうやって治療するの?」各論編4|獣医師が解説

福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
「獣医師は動物の皮膚病をどうやって治療するの?」今回は、当院で治療を得意としている皮膚病について、動物を飼育する皆さんが素朴に抱くこの疑問について解説しようと思います。「概要編」「検査編」「診断編」「各論」という形でシリーズとして述べさせていただきます。今回は「各論編4」です。

【19.寄生虫が関連する皮膚病:ノミ、マダニ、カイセンダニ、アカラスダニ】

皮膚病の原因は多岐にわたりますが、その中でも寄生虫が引き起こすものは非常に重要です。今回は、ノミ、マダニ、カイセンダニ、アカラスといった寄生虫に焦点を当て、各々がどのように皮膚に影響を与えるのかを解説します。

1. ノミ

症状: 強いかゆみ、皮膚の赤み、かきむしることによる二次的な感染症。猫ノミと犬ノミがいますが、近年は犬に感染するものも猫ノミが多い。犬も猫も尾の近くの背中の脱毛と皮膚炎から発見されることが多い。
寄生の仕組み: ノミは宿主の血を吸う際に、唾液からアレルギー反応を引き起こします。ノミアレルギー性皮膚炎と呼ばれる状態があり、わずか1匹のノミでも激しいかゆみを引き起こすことがあります。

2. マダニ

症状: マダニが噛み付く部位は赤く腫れ、かゆみが生じます。場合によっては、マダニ媒介性の疾患(例: ライム病、S F T S)が発症することがあります。こちらの方が重症化します。人に感染する病気を媒介しているので注意ください。猫も犬も感染します。主に耳や顔の付近、肘や膝に吸血してあずき大になった虫体として発見されます。草むらで感染します。
寄生の仕組み: マダニは長時間宿主に寄生し、血液を吸います。感染症を媒介するリスクがあるため、早期に除去することが重要です。


3. カイセンダニ

症状: 強烈なかゆみ、皮膚のかさぶた、脱毛。特に耳や肘、腹部などから全身に広がるように病変が見られます。動物の皮膚病の中で一番痒い皮膚病と言われています。
寄生の仕組み: 疥癬ダニは皮膚にトンネルを掘り、そこに卵を産み付けます。このダニは非常に伝染力が強く、迅速な治療が必要です。ただし種特異性がはっきりしており、犬のカイセンダニは犬科の動物にしか感染せず、猫のカイセンダニは猫科の動物にしか感染しません。


4. アカラスダニ

症状: 脱毛、皮膚の発赤。通常、免疫が低下している動物に発生しやすい。よって子犬や若い動物で発症しやすいです。成犬で感染している場合、ダニ自体というよりその子の抵抗力に問題がある場合が多く、生涯にわたり治療を行う必要があります。
寄生の仕組み: アカラスは毛包に寄生し、皮膚に炎症を引き起こします。症状が軽い場合もありますが、重症化すると細菌感染を併発することがあります。



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