犬のマダニ感染症の症状と原因、治療について|獣医師が解説
予防ワクチン・健康診断 症例紹介犬のマダニ感染症の症状と原因、治療について|獣医師が解説
福岡市早良区、福岡市西区、福岡市城南区、福岡市中央区、糸島市のみなさん、こんにちは。
福岡市早良区の次郎丸動物病院の獣医師の矢野です。
わんちゃんが調子を崩すと、飼い主さんとしてとても心配になりますよね。今回は、わんちゃんのマダニ感染症の症状と原因、当院での治療についてお話しさせていただきます。
【犬のマダニ感染症とは?】
マダニ感染症は、犬やその他の動物にとって深刻な健康リスクをもたらす可能性がある病気です。マダニは、一般的に野外で見られる寄生虫であり、特に暖かい季節(3月の春先から秋にかけて)に活動が活発になります。この小さな寄生虫は、犬の皮膚に潜り込み、血液を摂取することで生存します。マダニは犬バベシア症やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介していることがあり、このような病気に犬が感染した場合、犬が亡くなる危険性があるので注意が必要です。
【犬のマダニ感染症の症状】
犬がマダニに感染しているかどうかを確認するためには、以下のような症状に注意することが重要です。
1. 皮膚のかゆみや炎症
2. 毛の抜け落ち
3. 皮膚の赤みや腫れ
4. マダニが見られる:吸血すると小豆大まで拡大して犬の皮膚に食らいついているのが確認されます。頭、目のふち、耳や首の付け根、肘や膝から下の足などに寄生していることが多いです。
5. 貧血に関連する症状(例:倦怠感、食欲不振):犬バベシア症(血液に寄生する原虫による感染症)やS F T Sウイルス感染を起こした犬は、貧血や血小板減少症などの症状を起こして、元気食欲がなくなり発熱していることがあります。このような症状が認められるときは危険な状態になりますので、速やかに治療を行う必要があります。
以上の症状が見られた場合、速やかに獣医師に相談することが重要です。
【犬のマダニ感染症の原因】
マダニ感染症の主な原因は、マダニによる寄生です。これらの寄生虫は、草地や森林などの野外で見つけることができます。犬がこれらの環境に頻繁に接触すると、マダニに感染するリスクが高まります。
【犬のマダニ感染症の治療法】
マダニ感染症の治療には、いくつかの方法があります。獣医師は、犬の健康状態と症状の重さに基づいて最適な治療法を提案しますが、一般的なアプローチには次のものがあります。
1. マダニ駆除剤の使用:皮膚に塗布する薬剤や経口薬(近年はフィラリア予防薬と合剤になっているものもあります)を定期的に使用してマダニを駆除します。犬にマダニが寄生しているところを見つけたときは、動物病院で駆虫できます。
2. 皮膚のケア:感染箇所の清潔さを保ち、炎症を抑えるために適切なケアを行います。
3. 貧血の治療:重度の感染によって貧血が発生した場合は、適切な処置を行い、貧血を改善します。
治療後も、獣医師の指示に従い、予防措置を講じることが重要です。定期的なマダニ駆除剤の使用や野外活動時の注意が必要です。
【まとめ】
犬のマダニ感染症は、早期発見と、少なくとも春から秋にかけて定期的な駆除薬の投薬が重要です。フィラリア症予防の時期とも重なりますので、外での活動があるワンちゃんは一緒に予防を実施しましょう。近年マダニはSFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群)を持つものがいて、犬猫だけでなく人間にも感染し、非常に重大な問題となっています。福岡県を含む北部九州でも人への感染が認められるようになっていますので、マダニを見つけたときは素手で扱わず、直接触らない方法で駆除する必要があります。潰したりするとウイルスの播種をすることもありうるので、避けた方が良いです。人も不明な発熱や具合の悪さを感じたときは人間の病院をすぐ受診するようにしましょう。
当院では、飼主様の希望に応じて適切に診断し治療することを大切にしていますので、お気軽にお問い合わせください。
吸血してあずきくらいに大きくなったマダニです。草むらを散歩した後に、顔まわり、首、耳の付け根、肘や膝にイボのように付着していることで発見されます。寄生を見たときは動物病院で駆除しますので、ご来院ください。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を持っていることがありますので、素手で触らず、潰さないようにしてください。